にょっぴのブログ

24歳OL、雑記ブログ

otogi nightmare 5

 

目覚めれば、もうどんな夢を見ていたのか

思い出せなくなるものだ。

 

 

なんだかどっと疲れた顔で、

喫茶黄昏のパフェを食べに行く。

 

どこか遠い国のおもちゃ屋さんに来たかのような店内は、

 

高い高い天井、粉雪が降ってくる扉の仕掛け、

そしてなにより、壁一面に並べられた

年代物のキャンプランタンは格別だ。

 

その曲線美や、灯の小さな揺れに

いつの間にか心地よく力が抜けてきていた。

 

その隙間を刺すように、

突然心臓にランタンの底を宛てがわれる。

 

「!!」

 

聴診器でも充てるかのように

私の心音を聞くポーズを取って、

 

 

【君は怖かったんだね。守りきれるかどうか。】

ズバリ、言い放つ。

 

 

はぁ、もういい加減嫌なのだ、、、涙

 

ここのマスターはうんざりするほど聡明で、

怖いくらい見抜いてくる。。

 

そんなメンターに背骨を抜き取られ、

すっかり惚れてしまっていた。

 

 

 

"君はさ、怒りを悪いものだと思ってるんでしょ?

そりゃあ、その表層しか見てないんだもの。"

 

"その奥に何があるのかを知らないからだ"

 

君はママを大切に想えなくなった訳じゃない。

嫌いになったわけじゃない。

むしろ、愛しているから、背負い続けていく事に対して、恐怖を感じているんだよ。

信じることは、もうメーターを振り切ってて、

出来ないと思ってるんだろう?でもそれは、

信じたいっていう苛立ちに変わって、結局矛先は自分に向かってるんだ。

 

 

怒りは、戦う覚悟を決めた芯のある者にのみ備わる、情熱であり、身を守るためのアラートなんだ。

 

君は放っておいたら、どこまでも犠牲を払ってしまうでしょ?そんな君を守るための、君自身が存在するということだ。

 

 

表層部に騙されて、自分自身を  "これが自分だ"

と思う時、必ずゾムリの催眠香の匂いを微かに感じる。

 

あの間違った、だらだらどろどろと、奥行きのない

ただただ甘いだけの匂い。

やつが、まだこんな古典駄法を使ってるとはね。

 

うちのパフェにそんなベタベタする次元の糖質は

使わないのさ。

 

あそこに座ってるお客ら、

アイツらはみんな元々、なにかに中毒だった。

 

 

お酒、タバコ、ギャンブル、、

 

アイツらの怒りは自分自身に向く、自虐なんだ。

 

だから、ここでは 自分の身体を労ることを覚えさせるための特別な材料しか使わないんだよ。

 

 

覚えておきなさい。

"真実は、心臓部は、愛だ。"

 

その愛の具体性を君が知ってしまったら、

もうゴムリは君を騙せなくなる。

 

だから、ずっとまやかす煙を巻くように

あのキツイ匂いで君にまとわりつこうとするんだ。

 

 

そう言って、彼はパフェを持ってきた。

 

ほうずきと、細かく刻んだくるみ、

マスカルポーネの混ざったふわふわと

雪のようにしゅわしゅわととけるホイップ、

よもぎ白玉、摘んだばかりの早熟ゆで小豆、

ヤシの花の蜜で味付けをしたアイスの底に

焼きメレンゲが付いている。

 

 

"君は鉄分足りてないね。さっきから息が深く吸えてないもの。  だからはい、ほおずきのパフェ。

食べなさい。"

 

 

あぁ、辛い。だってこの人は、お客として

単にアドバイスをしてくれているだけだから。

 

このまま 鎖骨をなぞって貰えたら…

必要としてもらえる存在になれたらどれだけいいだろう…

 

そう思いながら、努めて無表情にパフェをかっくらった。