non title (2)
大丈夫だよ、僕は1人にしたりしない。
マックのチャイルドシートの影にも
あの襖の横のいつも君が寝たふりをしたあと
あけていた扉も、
下田の入田浜にも、
すべての所に、天使が配置されるんだ。
君が泣きついたり、 助けを求めたりできるように。
そしたら、天使は君の事を包み込んで、
面白い話を聞かせてくれる。
ママとパパがこれからどんなに仲良くなるか、
私たちの未来がどれだけ明るいか、
聞かせてくれる。
ほら吹きでもなんでもいいのさ、
君の心に一瞬でも花が咲けば。
だって君は、そこから何十年と
唇を噛むことになる。
決死の覚悟で、保つことのできない火事場の馬鹿力
を使っても、事態は回復せずに、
メーターだけが壊れていってしまう。
だから、未来のかのんちゃんが作ったパスタも、
時を越えて持ってきてあげる。
知ってる?未来のかのんちゃんのいちばん得意な料理は、エビのパスタなんだ。
意外だよね。クラムチャウダーじゃないところが。
意味わかんないでしょ?だって君はもしそのまま真っ直ぐに育ったら、得意料理はクラムチャウダーになっていたと思うもの。
だから、頑張って生きよう。
息を吸うだけでいいよ。
吸ったら吐くの。
ただそれだけでいいよ。
それを繰り返してると、震えて縮こまった体がちょっとだけ楽になるよ。
雲が通り過ぎるのを待つんだ。
戦わなくていい、立ち上がらなくていい、
ただ膝を抱え込んで、なるべく温存して。
息を吸って、吐いて。
息を吸って、吐いて。